平成22年度「生と死」のセミナー
「こんな事やってます。考えてます。」 S 氏
(がん患者さん)
2008年5月(38歳)胃がん発病、同年6月胃全的手術、7月から補助的な抗
がん剤服薬、その後良い経過にて本年9月現在、6ヶ月間隔で通院観察中。仕事
を再開している。「がん」の発病で「やっている、考えている」事について。
1、気持ちの持ち方
如何なる状況でも前進に徹し「がん」を自分の細胞としてとらえ、敵視せず
自己回復力を大事にする。38歳という若さでの発病を悩み苦悶したが、当時
発生した秋葉原事件で落命した若者たちの理不尽さを思うと、自分は「がん」
だけど生きている現実を受け止めることが出来た。不安や問題点を解決し留ま
らず前進するという姿勢を持つように切り替えられた。
2、自己管理
治療は医療者や家族など他者任せにせず自分自身が納得して受ける。問題が
生じた時他者任せだと不可解な後悔と恨みを持つ。自己決定をするには「がん」
を知るための情報や勉強をして知識をつけること。更に体調、症状を具体的に
日記記帳する。
これを医師に示す事でスムーズな良い関係ができた。更に医療効果を上げるた
めには
@ 身体の各組織、部位(毛髪、爪、恥部などにも)総てに声を出して感
謝を言う。
抗がん剤への語りかけ(効力を願う、効力への感謝)も声にする。
A 笑う。苦しい時は笑えないが笑える状況にして笑う。運動や気分転換
に努める。
3、家族との関わり
自分を支えてくれる家族に対し、患者の自分が出来る支え方がある。たとえ
ば家族の休息や気分転換を配慮してやる。病気の事実をお互いに隠さず伝え、
不安や疑問を共有し解決する。特にマイペースの家族がいると普段の家族形態
が保たれ、特別扱いが無い心安さがあります。また、患者サポートは同姓だけ
より男女夫々の感性と特徴があった方が良い。
4、手と言葉
「手」の力は、さする、撫でる、包む、脈をとる等。
「言葉」の力は、医療者、家族、友人、隣人の好意ある言葉、この最も身近な
事を過小評価せず大切にしたい。
5、医療者との関わり
「がん」はもちろん、他の病気も勉強し知識をつける。これにより自己管理
力はもちろん、医療者とのコミュニケーションも円滑となり良い関係が生ま
れる。
知識が乏しかったり家族や他者任せだと、限られた診察時間内で双方ともに
良い医療効果を期待できない。医療事故やそのリスクを患者が妨げる場合も
多々ある。自分の病状、治療内容と方法等を良く把握し理解して観察と確認
をする。薬局からの薬手帳も活用、医療事故の情報にも眼をやる等の保身も
必要。これらが快気に向かう患者と医療者との関わりを良くする。
このようなことをやって、考えて「がん」と向き合ってきました。そして、こ
れからもこの姿勢で向き合います。
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仙台ターミナルケアを考える会