現代にかけて核家族化が進み、病院死の時代が始まり、青少年にとって「死」は
遠く離れたところで起こる出来事になってしまいました。それとともに、交通事故
や虐待・犯罪の犠牲者となって命を失う子どもや、いじめが原因で自殺する子ども
が後をたたない状況が続いています。このような背景から、当会は「いのち」の教
育実践に取り組むことになりました。
しかし、震災を経て青少年にとって「死」は避けられない現実となりました。千
人近くの犠牲者を出した名取市の中心部にある増田中学校には、被災した転校生が
市内だけでなく福島県などからも来ています。生徒たちが痛みを共感できる環境づ
くりに先生方が模索している中で、「命のバトンふれあい講座」を実施することに
なりました。生徒たちが、「誕生」と「死」、命を支える人々や社会の取り組みを
学ぶことで、親への感謝や命を大切にすることに気づく貴重な時間を持てたことは、
アンケート結果より強く感じました。
平成24年度も増田中学校で実施することができました。また、他の中学校でも
平成25年度の実施の準備を進めています。地域やPTAと連携していくことが、
内容の充実や継続への大きな力になっていくと考えています。