独居高齢者の生活に関する意識調査(内閣府高齢社会白書)によると、2015年時点で独居高齢者は約600.8万人いるそうです。全国の独居高齢者3000人を対象とした調査では、現在の生活に満足しているかのアンケートで、「今のままでよい」との回答が76.3%だったそうです。それ以外の方々が独居の不安の主たるものとして挙げたのは健康問題・病気・寝たきりなど“介護が必要な状態になること”でした。
自宅独居をめぐっては、孤独死の問題が社会的に注目されていますが、孤独死と独居死は異なります。孤独死は支援、援助関係者がいない(あるいは希薄な)なかでの死亡ですが、独居死の場合、支援、援助関係がしっかりとあるなかでの、病気や老衰による死亡です。以下では、自宅で独居でも安心して最期まで過ごすための7つのポイントをお伝えします。
1、意思表示をしっかりと
最期をどこで過ごしたいか周囲に意思を伝える。リビングウィルに関することです。
尊厳死や延命治療の有無などが論点になります。そのほか、エンディングノートを活用し、遺された人へ思いを伝えることもあるでしょう。遺言や公正証書の作成もあり、これには法的効力がありますが、効力の発生は死後です。
2、住環境への対応
自宅やアパート、施設といろいろありますが、今、住んで、生活の場にしているところをもとに考えましょう。住環境が療養場所としてどうかと気にする方もいますが、実は対応できるもので、心配はありません。
3、福祉・社会資源の活用
生活を支えるために社会資源の有効活用が必要です。自宅での独居の生活を送るために、どのような制度が使えるか相談しましょう。いろいろな窓口(行政、社会福祉協議会や身近な地域包括支援センターなど)があり、病院や在宅療養支援診療所にも相談できます。いろいろな介護・福祉のサービス利用が欠かせません。
4、医療の利用
現在は自宅でも、病院と変わらない水準の緩和医療を受けることができます。病院でしかできない治療が必要な場合以外は、在宅医療を利用することになります。医師や看護師が定期的に訪問し、いろいろな職種が連携するチームケアで、24時間対応する在宅ホスピス・緩和ケアが患者さんを支えます。
5、お金の問題
原則として、預金引き落としなどお金の扱いはご本人しかできません。しかし、軽度認知症の方はお金の管理について、社会福祉協議会が受託している日常生活自立支援事業を利用できます。家族の支援がない場合、成年後見制度の利用もできます。いずれにしても、お金の備えは欠かせません。
6、財産整理
死後の資産、家財道具等の処理も考えねばなりません。有効なのは、遺言、公正証書の作成です。親族がいない場合、行政書士による死亡後事務委託契約があると安心です。最近は民間会社で(会員制の)一切お任せの有料手続きなどもありますが、入会前によく調べましょう。それと、前もって大切なものの保管場所は伝えるなどして、遺された人に迷惑をかけないよう心がけましょう。
7、スピリチュアルについて
よりよい生き方・亡くなり方を考える時、いろいろな思いも浮かんできます。病気と向きあった時の心のつらさや不安は、臨床宗教師が思いを聴いてくれます。ただ、それだけでなく、自分がいま生きていることや命について、普段から考えることを忘れないようにしたいものです。