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「在宅ホスピスボランティア養成講座」

 @ 在宅ホスピスについて
   講 師 : 鈴 木 雅 夫 さん
         
ふくしま在宅緩和ケアクリニック院長

   「迷惑をかける」


    私は「緩和ケア」というものを専門にしている医師で、現在は「ふく
   しま在宅緩和ケアクリニック」という在宅専門の診療所を開いています。

    「緩和ケア」というと「看取りの医療」「必殺仕置き人」というイメ
   ージを持っておられる人がとても多いようですが、これは誤った認識で
   す。確かに重大な病気になってしまった方に対して提供するものではあ
   りますが、「緩和ケア」とは「人が生きている限り、最期の瞬間まで生
   き生きと生き続けることを支援する」もので、「太く・長く」生きたい
   という思いを叶えようとするものです。
   
    この仕事で、1000人以上の方の、人生の貴重な時期のお手伝いをさ
   せていただいてきました。皆さんからたくさんのことを学ばせていただ
   くと同時に、命の尊さを実感し、忙しいながらもこの仕事を続けていく
   エネルギーを頂く日々を過ごしています。

    こうした中で、患者さんからよく聞く言葉があります。それは「迷惑
   をかけたくない」です。「こんな状態で家に帰れば、家族に迷惑をかけ
   てしまうので帰れない」「家には帰りたいが子供に迷惑はかけたくない
   」「年老いた親に迷惑はかけられない」「連絡すると面倒・迷惑をかけ
   てしまう」などなど、ご自宅で療養する方、特に病院で療養中の方から
   頻回に聞かれる言葉です。この時に私がいつも感じるのは、「迷惑をか
   けてはいけないのだろうか?」ということです。楽しいとき・幸せなと
   きだけ一緒に過ごすのが、家族、友人、ご近所なのでしょうか。つらい
   とき、大変なとき、悲しいときも一緒に過ごし、共にオロオロするのが
   ホントではないのでしょうか。迷惑をかけ合いながら共に生きていける
   のが家族、友人、ご近所の人なのだと思います。自分の貴重な時間を目
   の前の人に少しだけプレゼントする。迷惑をかけたりかけられたり、「
   お互い様」でしょう。

    とある患者さんの奥様がおっしゃっていました。「『体がきくうちは
   自分たちだけで過ごしたい。動けなくなったら子供のところに行くよ』
   って言う人よくいるでしょ。でもあれはおかしいね。動けるうちに孫の
   面倒をみたり、家のことやったり、若い者の役に立っておいて初めて自
   分が動けなくなったときに世話をしてもらえるんだよ。動けなくなった
   ときだけ世話になろうなんて上手く行くわけ無いね。夫は特に優しい人
   ではなかったが、まじめに働いてきてくれた人だ。だから今こうして自
   分が世話をしている。そうしないとバチが当たる。嫁やら何やら不満は
   あるが、我慢して家の役に立つようにしている。いずれは自分の番がく
   るんだからね。」と。

    またある末期癌患者さんの口癖。「私は家で療養して家で死にます。
   こうして自然の景色を見て、自然に過ごす。これが最高だね。自然が一
   番!」「私は子供たちに面倒を見させる。世の中に流されたくない。子
   供だちに最後の教育をするんだ。」30代であるお子さんたち・お嫁さん
   たちは、仕事や子育てで忙しい中、精一杯の看病をされていました。周
   囲の「入院させろ」という声にも負けずに。やがてはお孫さんたちも加
   わり、愛情につつまれて永眠されました。永眠された後の、ご家族皆さ
   んの心からの笑顔が印象的でした。




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リーフレットはこちらから ダウンロードできます↓
遺族の会 ふれあい
ホスピス 110番
リンク
仙台ターミナルケアを考える会