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「在宅ホスピスボランティア養成講座」

 D 死の不安とグリーフケア
   講 師 : 大 村 哲 夫 さん
         
臨床心理士・チャプレン

   「『しろうと』の強み」



    心のケアやスピリチュアル・ケアは最近注目されており、私も思いが
   けないところから声をかけられ、お話をする機会があります。多くの方
   が患者とより良い関係を築き、支えていきたいと考えていることを知り、
   また「遺族」としての看取りを追及されているのを知ると、心強くあり
   がたいことと思います。

    しかし私には少し気になっていることがあります。それは受講生が学
   ぼうとして熱心になるあまり、準「専門家」となってしまわないだろう
   か、ということです。

    ある末期がんの患者さんがありました。娘さんは優秀な緩和ケア専門
   の看護師でしかも指導的立場にありました。熱心かつ専門的に父親の看
   護に専念していたのですが、あるとき親から言われました。「看護師と
   して来てほしいのじゃない、娘として来てほしい」。在宅ホスピスで死
   に直面した人に関わるまなざしには、同じ人間としての水平方向の視線
   と、今死に直面している方から学ばせていただこうとする仰ぎ見るまな
   ざしがあると思います。しかし専門家としての視点は、それに加えて患
   者さんとセラピストである「私」との関係を客観的に眺め、患者さんの
   心の状態を見立て、治療方針を立てるような「観察」する見方がありま
   す。これは専門家として患者さんに関わっていく時に欠かせないもので
   すが、患者さんと自然な人間関係をつくる時には必ずしも必要がなく、
   むしろ邪魔なものとなることさえあります。私たちが深い人間関係であ
   る友人や恋人、家族と接するときに、どのような態度をとっているかを
   思い起こせば、けして第3の視点をとっていないことがお分かりになる
   と思います。

    死が近づいてきた方は、要らないものを次々と脱ぎ捨て、本当に必要
   なものを模索していきます。その時に必要なものの一つは、何の計らい
   もない人間と人間との関わりであり、友といえるような関係ではないで
   しょうか。「オウム返し」などの「技法」に捉われるのではなく、相手
   を本当に知りたいと願い、それを受継ぎたいとする誠実さが求められて
   いるのです。

    私は皆さんのような「ボランティア」、大いなる「しろうと」こそ、
   人生の最期を生きる人にとって最も支えとなる存在であり、専門家が代
   わることのできないかけがえのないものであると確信しています。
   




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リーフレットはこちらから ダウンロードできます↓
遺族の会 ふれあい
ホスピス 110番
仙台ターミナルケアを考える会